現在、日本には約３２万人ものの風俗嬢がいるそうです。函館から下は那覇、そして所沢など人口３０万都市ですから、そこに住んでいるくらいの人達が風俗嬢だといっても過言ではありません。

それを考えるとどれだけの人数が風俗嬢なのかと驚きを隠せません。
そのひとりとも言える、水嶋かおりんさんが『風俗で働いたら人生変わったwww』という本を出版しました。
その本の中でも役３２万人が風俗嬢だというデータが書いてあります。
水嶋さんは風俗嬢歴は１５年のベテラン風俗嬢です。
現在は風俗嬢の講師も行っています。
その他セックスワーカーがいきたすい社会を作る為、日夜活動を続けているようです。
この本はその活動の一貫の一つです。外野の風俗嬢への偏見を払拭して、風俗従事者、そしてこれから従事しようと思っている者への心構え、『売れている風俗嬢の思考法』を説いています。
また、風俗嬢への偏見（失礼ではありますが軽いのではないかと教養はそんなにないのではないかというような）がひとつでもなくなるというものですが、注目はその知性の強調が尋常という事ではなく、本文には「宿痾」「畢竟」「非言語領域」「紙幅」「発話者」「忸怩」「後塵を拝する」「柳暗花明の巷」など妙に画数の多い漢字がたくさん出ています。
その水嶋さんにインタビューしてみました。

・演劇やドラマの取材をしているのですが、水嶋さんの業界に関しては素人と一緒です。本を読んでいて風俗嬢の体の使い方は勿論の事、お客様とのやり取りがとても俳優のように思えたんですが、どうですか？
水嶋さん『凄くそれに近いと思います。私が考えている風俗の定義は「2時間のオペラ」と同じです。
というのは山場に射精があり、最後はどのようにしていくのかという構成を考えて、演じていくのが私達の仕事です。
特に射精後というのはゆっくりとフェイドアウトするか、それともヒュっとカットアウトするのかなど、いろんなやり方が考えられています。
それを考えるとお芝居に近いのかなと個人的には思っています」

・そうすると演出するというのはとても大事な事なんでしょうか？
水嶋さん『演出は大事です。例えば、部屋の温度や照明でさえも結構雰囲気というものは変わってきます。
お客様が汗をかいていないか、呼吸が浅いとか深いとか、、体力などもきちんと察知していかなければなりません。
年齢も重要な点ですから、どんな空気感がお客様にとってリラックス出来るのかとか色々と意識していかなければなりません。
だからこそ個々により演出の仕方なども変わってきますね』

・風俗嬢さんの独自のやり方がそれぞれにあって、それぞれ個々によりやり方を求めてお客様が来るのかと思っていましたが、お客様の好みに風俗嬢さんが合わせていっているんですね。
水嶋さん『その場によりけりですね。例えば、脚本がお客様と二人で作り合っていく事もありますし、私が脚本を提示する事もあります。』

・お客様が望んでいるようなものを演出していくという事なんですね。
水嶋さん『そうですね。例えば、お客様がヲタクでしたらアニメ声を演出するとかですね。』

・風俗嬢はとても興味深いんですね。
水嶋さん『風俗嬢は皆さんが思っているよりも楽しいですよ！ですが、その点今の社会ではなかなか理解されない分野ですので残念なところです。一生懸命に仕事を突きとめている人達だったり、充実感を持って楽しく仕事をしている人達もいるのに、性風俗がメディアで語られる時というのは貧困問題の文脈だったり、行き場のない女性達の悪しきセーフティネットとしてのフォーカスされがちなのがとても残念でなりません。全てのメディアだけではないのですが・・・』

水嶋さんのクレバーさや人間性を感じたところは、ストーカー対策の項目です。ストーカーになりそうな客をの扱い方の詳細などは本を読んで頂ければ理解して頂けると思いますが、人を追いかける気持ちが言い過ぎる事を彼女は本の中で断罪をしていません。
人間は多面体で良い事、悪い事も等価である事を分かっているからでしょう。
彼女自身、追いかける人のエネルギーを転換させる力があるようです。