障害者がソープへ

「障害者がソープへ行く賛否」論争はどうして結果が出なかったのでしょうか

障害者に性の手助けをする非営利組織「ホワイトハンズ」の代表、坂爪真吾氏。このような行動をする要因はなんなのでしょうか?新刊「セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱」を書いたばかりの坂爪氏がこのように話します。

わたしがこの団体を作るきっかけは、大学にいるときにした、歌舞伎町の性風俗研究です。あたしがいたのは、社会学で、ジェンダーとセクシュアリティをテーマにした研究をする、上野千鶴子教授のゼミでした。

その時の上野ゼミは、厳しさと怖さが世に知られている「日本最恐」のゼミでした。あたしも、あたしも、ゼミの発表の時に、たくさん「血祭」「公開処刑」に晒されつつ、論理的思考と精神的な面での強さを、きちんと学べました。

社会学は、一言で表すと「物事を社会的な前提を疑う学問」。目の前の出来事、発言をそのまま受け取るのではなく、いつも「裏を読む」「前提に疑問を持つ」ことが要求されます。

社会学を学習すると、相手の発言やメディアで言われていることを「最初に疑う姿勢」が身に付くのです。その中で、一番重要なのは、「問題設定自体を疑う」考えです。

以前に「障害者がソープに行くことを、認めるか、認めないか」という話し合いがありました。賛成する人は、「障害者にも性欲求を満たす権利はある」と言い、反対する人は、「買春は差別」「障害者も恋するべき」と話し、議論はきちんとした結論が出ず、終了しました。

ですが、これは典型的な「問題設定が誤っている問題」なのです。真に考えることは、障害者がソープに行くことよりも、問題設定にある問題、要するに「どうして、異性とHする選択しは、恋愛とソープしかないのか?」「両方に当てはまらない人はどうしたらいいのか?」なのです。

誤ったもんだ設定を信じると、「回答のない問題に答えを出そうとし、大きな時間を無駄にする」という落とし穴にはまります。この「問題設定自体を疑う」発想は、誤った問題設定ばっかりの性分野で会社を作るのにものすごく参考になりました。

 

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